これって・・・・・
山歩きが好きだ、山と言っても近所の雑木林だったり、近場のそれほど深くない低い山を歩くだけなので、ちょっと長めの、ちょっとハードな散歩みたいなものだ。それでもそれなりに起伏にとんだコースがあったり、とても見晴らしのいい場所があったりして楽しめる。
木々に囲まれて流れる細い川(沢)づたいに歩いていると、前方がやけに明るくなってきた。暫くして、左側の斜面が広範囲に伐採されている場所に出た。見上げると斜面のかなり上の方に、一本だけ木が残されていた。人が腕を水平に横に伸ばしたような形をしている。松の木のように思えた。
伐採作業の際に作られたのだろうか、細い踏み分け道のような道が上の方へと延びていた。木の下まで行けそうだ。よし、行ってみよう。
上り始めると、すぐに息が切れてきた。徐々に高くなってくると、対面の斜面の木々が真冬の感じではなくなっているのが分かる。こんな所をオオタカやノスリが飛ぶことがある。それにこの時期はアトリやマヒワの群れが飛ぶことだってあるし、運が良ければヒレンジャク、キレンジャクの群れが飛ぶ可能性だってある。そうなれば言うことなしだ。そんな事を考えながら上り続ける。
木がはっきりと見えてきた。間違いない、松の木だ。かなりの古木のようだ。孤高の戦士のようだ。どれ位ここにこうして居るのだろうか?
さらに近づいて行く。
あれっ?急に高揚していた気持ちが冷めていくのが分かった。木の根元にゴミらしきものが見えたのだ。今まさに私がしているように、こういう所に上りたくなる人は少なくない。そしてこういう所で一休みして、何かを食べたくなるのだ。景色を眺めながら。
ため息が出る。ゴミは持ち帰ってくれよ、ったく。
このまま引き返そうとも思ったが、せっかくここまで来たのだからと思い直して、松の木の根元へと辿り着いた。辺りは踏み固められていた。
ふーっと息をついて、空を見上げた後で、渋々ゴミに目をやった。
んっ?なんだこれっ?開栓されていない缶コーヒーと缶コーラ、その下に見えるのは萎れてしまっているが、明らかに花束だ。えっ、こ、これって、車の死亡事故現場なんかで見かけるやつじゃん・・・・・。よく見ると帯が解けた線香が・・・・・。
ってことは、誰かがここで死んだってこと・・・・・。ってことは・・・・・。思わず、横に伸びている松の幹を見上げてしまった。ここで、首・・・・・。
下の方から冷たい風がすーっと吹き上げてきた。全身が鳥肌で覆いつくされるのがわかった。ブルブルッと震えが来た。松の根元に向かって手を合わせ、踵を返し、転げるように斜面を下りた。
今日はここまでにしておこう。川づたいに戻り始めたのだが、後ろが気になってしょうがない。あそこで亡くなった方がいたとしたら、その方には申し訳ないのだが、ホラー映画で、後ろが気になって振り向くと、何ともなかったのだが、正面に向き直ると、目の前に・・・・・なんてことを考えてしまった。
何事もなく無事に帰宅した。

行く途中で撮った梅の花。シーズン到来って感じです。
木々に囲まれて流れる細い川(沢)づたいに歩いていると、前方がやけに明るくなってきた。暫くして、左側の斜面が広範囲に伐採されている場所に出た。見上げると斜面のかなり上の方に、一本だけ木が残されていた。人が腕を水平に横に伸ばしたような形をしている。松の木のように思えた。
伐採作業の際に作られたのだろうか、細い踏み分け道のような道が上の方へと延びていた。木の下まで行けそうだ。よし、行ってみよう。
上り始めると、すぐに息が切れてきた。徐々に高くなってくると、対面の斜面の木々が真冬の感じではなくなっているのが分かる。こんな所をオオタカやノスリが飛ぶことがある。それにこの時期はアトリやマヒワの群れが飛ぶことだってあるし、運が良ければヒレンジャク、キレンジャクの群れが飛ぶ可能性だってある。そうなれば言うことなしだ。そんな事を考えながら上り続ける。
木がはっきりと見えてきた。間違いない、松の木だ。かなりの古木のようだ。孤高の戦士のようだ。どれ位ここにこうして居るのだろうか?
さらに近づいて行く。
あれっ?急に高揚していた気持ちが冷めていくのが分かった。木の根元にゴミらしきものが見えたのだ。今まさに私がしているように、こういう所に上りたくなる人は少なくない。そしてこういう所で一休みして、何かを食べたくなるのだ。景色を眺めながら。
ため息が出る。ゴミは持ち帰ってくれよ、ったく。
このまま引き返そうとも思ったが、せっかくここまで来たのだからと思い直して、松の木の根元へと辿り着いた。辺りは踏み固められていた。
ふーっと息をついて、空を見上げた後で、渋々ゴミに目をやった。
んっ?なんだこれっ?開栓されていない缶コーヒーと缶コーラ、その下に見えるのは萎れてしまっているが、明らかに花束だ。えっ、こ、これって、車の死亡事故現場なんかで見かけるやつじゃん・・・・・。よく見ると帯が解けた線香が・・・・・。
ってことは、誰かがここで死んだってこと・・・・・。ってことは・・・・・。思わず、横に伸びている松の幹を見上げてしまった。ここで、首・・・・・。
下の方から冷たい風がすーっと吹き上げてきた。全身が鳥肌で覆いつくされるのがわかった。ブルブルッと震えが来た。松の根元に向かって手を合わせ、踵を返し、転げるように斜面を下りた。
今日はここまでにしておこう。川づたいに戻り始めたのだが、後ろが気になってしょうがない。あそこで亡くなった方がいたとしたら、その方には申し訳ないのだが、ホラー映画で、後ろが気になって振り向くと、何ともなかったのだが、正面に向き直ると、目の前に・・・・・なんてことを考えてしまった。
何事もなく無事に帰宅した。

行く途中で撮った梅の花。シーズン到来って感じです。